本当の別れ

「別れ」とは何であろうか。
別れと聞いて色んなことが頭に浮かぶ。
男女の別れ、死別、卒業式、ペットの死、引越し、旅立ち…。

もう二度と会えない、もう二度と訪れない瞬間、少し前まで一緒にあったものが別々の道へ進んでいくことが別れというのかもしれない。

先日、前に勤めていた会社の人から電話があった。
そんなに親しくしていなかった人からの連絡だったので、なんだろうと思いながら電話をとると、勤めていたときに私が大変お世話になり尊敬していた上司が急逝したという連絡だった。

まだ若く、お子さんも小さく、マイホームを買ったばかりだった。
しばらく呆然としていたが、葬儀には参列したいと思い実際に伺った。
奥様は泣きはらした目をしていて、事態をわかっていない小さなお子さんがはしゃいでいるのが、逆に涙を誘った。

遺影に手を合わせ、重い気持ちで家路についた。
それから1ヶ月くらいたった頃だろうか、夢を見た。

それは、まだ私に勤めていて、上司が亡くなった旨の一報をご家族から受け、それを役員に報告しにいくという場面だった。
役員に報告しにいくと、「そんなバカな話があるか、よく確認しろ」とたいそう怒られ、私はもう一度自分の部署に戻り、上司の席を見てみた。

そしたら、なんと普通に座って仕事をしているではないか!
あまりの衝撃に目が覚めてしまった。
目が覚めたときまず思ったのが、「なんだ、やっぱり死ぬわけないか、よかった」というものだった。

だけど5秒くらいすると、それは夢だったことに気がついた。
やっぱり亡くなったんだという二重のショックが襲ってきた。
上司は仕事に厳しい人だった。
でもよく見ていてくれて、褒めてくれて、口は悪いけどかわいい人だった。

これから仕事をしていく上で絶対に上司から教わったことは私の中に残っていて、活かされていくだろう。
別れは、残された人によって本当の別れにはならないと思う。

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